目玉かけご飯

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夕日に黄昏る無精卵。

これは高校時代に席が隣だったEくんの話。
さして面白い話ではないが、高校生のあの頃、腹を抱えて笑ったのをふと思い出し、備忘録として記しておこうと思う。

 


 

「めっちゃ美味しいねん。」
と、Eくんは "目玉かけご飯" の作り方についてジェスチャーを交え、熱く語ってくれた。
「フライパンに油ひいて、卵を二つ割って半熟の目玉焼き作るんやんか。」
ふむふむ、ちょっと贅沢。
「ほいで、お茶碗によそったご飯の上に一個のせんねん。」
ふんふん。
「で、そこにマヨネーズをかけて混ぜながら食べるねん。」

 

 


・・・ ん?

 

 

 

この話を一緒に聞いていたKくんと目を合わせ、Eくんに向き直り言った。
「ちょっと、もう一回説明してくれん?」

大して嫌な顔せず、再度説明を開始するEくん。

「いやだから、フライパンで半熟の目玉焼きを二個作るねん。」
うん。
「ほんで、ご飯の上に一個のせてマヨネーズかけて、混ぜながら食うんやってば。」

 

ぅん?(笑)

 

お気づきだろうか。目玉焼きが一つ余る。
なぜ二つの目玉焼きを作るのか理由がわからぬまま、面白いので何度か説明させた。
怒りもせずむしろ、同じことを繰り返す状況がツボにハマったようで、笑いながら説明してくれる。こちらは、ボタンを押したら同じことを話すロボットのようなEくんで遊ぶ。win-winの関係。

余る目玉焼きの行方はわからず、そのことに疑問を持っているこちらの気持ちも察せず、何度も説明を求めた。回を重ねるごとにEくんのテンションは上がる。

 

記憶の限りでは5回ほど同じ説明を聞き、キリがないと判断。ようやく問うた。
「なんで目玉焼き二個作るん?」
Eくんは、はっとしてた様子で
「あ、もう一個は妹の分やねん。」

 

 

 

 

 

 

「しらんがな!」

 

 

 

 

 

 

Kくんと声を合わせてつっこむ。
料理と言えるのかわからないぐらい簡単な "目玉かけご飯" 。
でも、Eくんは常に妹のことを考える優しいお兄ちゃんなんだな。

と、すこし心温まるお話でした。