あじわい。

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よく並んでいる黄色い三つ目。


「趣味ってさ、おもむきあじって書くじゃん?」
前の席に座る、教師の言うことをひとつも信じない中学生が、そのまま大きくなったような20歳前後の2人組の青年が話している。
「趣って、しみじみとした味わいって意味らしいから」と、最近の若者よろしくスマートフォンで調べた内容を読みながら、会話が続く。
「今日俺が釣った魚が新発見のアジだったとしたら、オモムキアジって命名するね。」

土曜日の朝、いつもよりゆっくりとした時間に起床し、朝食とも昼食ともつかないパンを齧っていると電話が鳴った。画面には上司の名前が表示されている。
「言いにくいんだけど、今から山形まで行ってくれない?」出るや否や、言いにくいと断りを入れながら、言いにくくなさそうに上司の西郷は言う。
中小企業の中の下、大きくもなく小さくもないメーカーで働く都万野は、サービス営業部に所属しており、見積もりから発注、現場での作業まで幅広くこなす仕事をしている。

多くの日本のメーカーには、お客様は神様、という古の言い伝えのような言葉が染み付き、いくら働き方改革と世の中が騒いでも、お呼びがかかれば休日でも関係なく、神様の元へ向かわざるを得ない。

「すげぇ美味そうな名前だな。」赤茶毛のもう1人の青年が称賛する。
釣竿らしいポリエステル製の布でできた細長いケースを抱えてはいるものの、それ以外は釣りに適した服装ではないと、釣り未経験の都万野ですら思う。

...

 

いきなり小説じみた始まりに「?」が浮かんだだろう。
ただ伊坂幸太郎に刺激され、何となく手を動かしてみただけで、この文章には何の意味もなく、何の目的もなく、書いている本人に全くのスキルもない。
ということで、最近の出来事に移る。

 

隠岐の島にある東側に位置する布施地区は、その昔木工が盛んだった。
一ヶ月ぐらい前だろうか。とある繋がりから、とある方に辿り着き、布施地区で使われずに眠っていたサクラやクワの木材を分けてもらった。
何を作ろうか考え、手始めに形状の簡単なカッティングボードを製作することにした。

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人生初のカッティングボード

鉋がうまく使えず、ベルトサンダーで表面を均したため、じっくり見ると残念な部分も目立つが、最初にしては上出来とも言える。仕上げにくるみ油を塗ることで容易に味わいが出た。

折角なので、友人に使ってもらい、星をつけてもらうことにしよう。

遊びが仕事になると、嫌いになる言われるが、仕事ではなく小遣い稼ぎなら、好きでいれると思う。無理のない程度でこんな木工を楽しんでいきたい。

 

ちなみに、刺激を受けた小説は「ホワイトラビット」。「クジラアタマの王様」を1ヶ月ほど前に読み、まだ読んだことない伊坂作品ないかなと図書館へ探しに出かけ手に取った。
詐欺に、泥棒、誘拐、と非日常をコミカルに現実のように描く能力は、小説家の中でも常軌を逸している。
ほんの僅かな回想シーンだが、隠岐の島が出てきたことに少し驚きと喜びを感じた。
かなり複雑な構成なので、もし読まれる際は、時間をとって一気に読み切ることをお勧めしたい。

ホワイトラビット(新潮文庫)

ホワイトラビット(新潮文庫)

 
クジラアタマの王様

クジラアタマの王様